体感への憧憬

ヒンメリをご存知でしょうか?
フィンランドの麦わらで作るモビールで、幾何学的な立体造形を糸で繋ぎ合わせて作ります。
これは立体化したフォルメンだと、これ以上ないほどのはまり様で朝に晩にと暇さえあれば麦わらを手にしている日々を過ごしていました。
(今は写真が手元にないのですが、いずれ掲載しますね。)
雑誌に載ったヒンメリを見て初めて知ったのですが反響がもの凄いらしく、ヒンメリ第一人者のおおくぼともこさんのサイトの藁の在庫は品切れだとか。
立体の力を必要としているのは私だけではないのだと知ることで、世の中で立体の力が必要とされていることをきっかけに色々と考えさせられました。
紙の上で書くフォルメンは2次元ですが、感情や思考にアプローチされる感覚があります。しかし空間に作り出す3次元の立法体は体に直接響いて来て、空間の認知の中でより分かりやすいものになるのだとわかります。
オイリュトミーは動くフォルメンと以前も書きましたが、オイリュトミーに限らず、宇宙エネルギーにアプローチするものは数々生み出されてきました。ヨガや太極拳、各種舞踊、武道、人は宇宙エネルギーと密接に繋がることを志向してきたことがこれらの歴史を俯瞰するとわかります。
空間で浮かぶヒンメリは平面(視覚=外界)と体(体感)をつなぐ中間に存在しています。
ヒンメリの力が世に求められているということは、行く行くはもっと体の動きを伴った体感するものを志向する前触れでしょう。
今はテレビやパソコン、ゲームなど平面と脳で営む世界が生活のキャパを大きく占めるようになりました。
しかし、そのお陰で人は体と宇宙をつなぐエネルギーの取り込み方を忘れ、様々な障害が出ています。
体と宇宙への回帰が起きているのです。
女性雑誌には曼荼羅塗り絵の特集があり、書店に行けば大人の塗り絵の本が並んでいます。平面にアプローチすることがブームとなり、ヒンメリが出てきて立体化されてきています。
会社で今まで行われてきたランチミーテイングは、今は一歩進んでウオーキングミーテングなるものがあるそうです。

人が体から離れる程に”形”への渇望があり、様々な方法で空間の認知を取り戻そうとするようです。

では空間を認識することと体の認識はどうつながるのでしょう。
空間に形を作り出すこと、線を追って空間を作り出すことは自らの生命エネルギーが引き出されて行われていることだと思われます。
線を書くこと、空間をつくることは自らのエネルギーの延長線であり、そこに残した軌跡が分身のように認識されるのではないでしょうら?
結果としてエネルギーが外へ引き出され、自分が広がります。ゆがんだエネルギーは正しい線、調和をとれた線を目指すことで矯正されます。
ゆがみを直し、開かれ、外のエネルギーと交流することになるのです。

ケプラーは宇宙は直線と曲線で出来ていると言ったそうです。
人間の表現するあらゆるフォルムの美しさはまさにエネルギーの動きの表現であり、調和に叶ったものだけが、永遠に残りいつまでも力を生み出し続けるのでしょう。
私たちはエネルギーの調和を崩さないで生きているか?というと決してそんなことはありません。でも、こうしてフォルムに触れて鍛錬し、芸術といわれる様々な人間活動によって刺激を受けエネルギーをもらいつつ生きることは出来ます。
私の治療もエネルギーを整え損なうこと無く美しいものでありたいと願うばかりです。