体、呼吸、リズム

久々の更新です。
今日は合気道の先生に言われて気づくことがあった”呼吸”について少し考えてみたいと思います。
もともと私は幼少期から呼吸は浅く風船を膨らませられない程の肺活量しかない冷え冷えガチガチ人間だったのですが、合気道で上半身の柔らかさを鍛え、呼吸力というものがあることを知るようになりました。未だ呼吸については不勉強で、まだあまり分かりません。
それでも少しおぼろげに見えて来た世界を言葉に捉えてみましょう。

合気道に限らず武道では呼吸がとても重視されると思います。剣道の気勢も呼吸力の表現ですが、サイレント武道の合気道の場合は技をかける時に息を吐けと言われます。
吐くことはエネルギーを外に向けて出すことですが、同時に己を消して相手と同一することにつながります。我をなくすのです。
そして技のクライマックスに合わせるように呼吸をすることは、技にリズムをもたらし絶え間ない流れを生み出します。
治療でも、特に気を扱う治療はかならず息を吐けと言われます。エネルギーが放出されると言いますが、息を吐くことで息を吸う、その繰り返しは同様に治療のリズムをもたらします。
呼吸とリズムはきってもきれない関係にあるようで、リズムをとることで呼吸も整い体と呼吸の一致を生み出すことはあらゆる方面に影響をもたらすのではないかと推測されます。

呼吸とは心臓の拍動と同じように無意識に絶え間なく行われているリズム活動です。
浅い深い、速い遅いの違いはあれ、誰もが何らかのリズムをもって呼吸をしています。
そして呼吸はビックリすると息が止まり、緊張すれば早くなるなどの心理的要因を常に受けているものでもあり、食物と同じく外から吸収し排出する見えない消化活動でもあります。
吸収は大気などの外の世界の影響をもろに受けているのですが、それぞれが呼吸というリズムを作ることで無意識に自分の体を防御したりゆるめたりといったコントロールをしているのです。

しかし、いざ呼吸法なるものを実践してみようと思ってみてもそれを効果的に用いることが出来る人は少ないのではないでしょうか?
呼吸法とは普段行っている呼吸の意識化です。
無意識で行っていることを意識してやることは本質の自分という無意識の世界が意外にも遠くにあることを感じます。
呼吸を紐解いてみましょう。
呼吸は横隔膜の緊張や、胸郭の動きに直接働きかける一つの運動でもあります。腰回りや背中の固さ、胸郭の緊張が横隔膜や肺の運動に影響がでますし、首の固さも胸郭の動きに関与しています。
通常の呼吸は肺を使った外呼吸ですが、深くは細胞の一個一個が呼吸する存在です。呼吸が出来ているかどうかという問題を深く捉えた場合、体の隅々にまである細胞一つ一つまで意識を広げて一斉に呼吸する同時性に着目することが大事なことに思えます。
呼吸を意識で統御する場合、硬直した物質である体を自在に操作することと、細胞代謝という無意識のエネルギー活動を感じる”全体性”がポイントになのです。

体全体で吸うこと吐くこと、一体感をもたらす良い呼吸はここにあると思います。
抵抗があってはそれに乗り切れません。
体の抵抗はゆがみや堅さ、心理的な抵抗は不安感だったり迷いだったり。
我々は知らず知らず抵抗しているのです。
わだかまりなく、すっと新しい呼吸に入っていければ何の苦労もありません。
呼吸は誰もが当たり前にできそうで、一番操作しにくいものと言えます。
だから、始まりは自分の呼吸に耳を澄ますこと。
何の意識もなくありのままの呼吸をしている自分をみつけられるでしょうか?
呼吸を見つめることは”今”に返りグランディングの力を及ぼします。
そうして見つけたら次はゆるめること。
吐く時に体を収縮して緩める、すう時に体を張って解放する。
収縮と解除、伸張と解放。
対立する要素のようですが吐ききった時、吸いきった時、苦しいとは違う感覚を養うとそこから広がります。
隅々までそうした感覚が広がると、一体感が生まれてきます。
一体化すると、全体がリズムを持ち始めていることに気づくでしょう。
リズムは様々です。一般的には4回の脈拍に一回の呼吸と言われます。
ごはんを食べる時、お風呂に入る時、人と話す時、それぞれのリズムと呼吸があるでしょう。
それを広げていくと一日のリズム、一年のリズム、トータルにとっているリズムがあると思います。
リズムは方向性を生み出します。
どんなリズムをあなたは刻んでいるでしょうか?
安定したリズムは方向性をもったエネルギーとなり意志となります。
呼吸、リズム、方向性、意志。
意志についてはまた今度お話しましょう。